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朝礼での貧血に必死に耐えた

いわゆる貧血というものになったことはないのですが

その日、初めて中学の朝礼で起こりました。

これが貧血なのかという驚きと

初体験でちょっと嬉しかったり

そんな複雑な感情はひとまず置いといて

いや、倒れそうだよ!?


医学的に言うと「貧血」というのは間違いなのだそうで

正しくは「血管迷走神経性失神」というらしいです。

本来の貧血とは重篤であり、少し立っていただけでなるような症状ではないらしく

朝礼で倒れてしまうのは正しくは「失神」だそうです。


当時の私は当然そんなことは知りませんし

いわゆる世間一般的に広く知れ渡って(しまって)いる貧血という言葉を

使ってしまいますが、以下失神のことだなと読み替えてご覧ください。


私の通っていた中学校は全校生徒1000人超のいわゆるマンモス校でした。

今の子供たちには考えられないと思いますが

当時の田舎にはそういう学校がちらほらあったのです。


その全校生徒が体育館に一堂に会し行われる全校集会。

それがひと月に一回くらいでしょうか、朝礼のかわりにありました。


毎回毎回面倒くさいなと思いつつもみな素直に従って

体育館へとゾロゾロと行進するわけです。

私はたまたまルーム長というまあクラスの代表みたいなことをしていたので

クラスのみんなを率いて先頭で先導していたのです。(変換したら戦闘で扇動とぶっそうすぎた)


体育館につき、クラスごとに縦一列に並び

立ったまま校長のありがた~いお話を拝聴するわけです。

たまには座って並ぶ時もあるのですが、立っているときが多かったですね。


そうなると出てくるのが貧血問題です。

大体二回に一回くらいはどこかで「ダンッ!」と誰かが倒れる音がして

先生に運ばれていく生徒が出たものです。


今でもそういう状況ってあるのでしょうか?

昨今の世相からすると何かしらの問題になりそうな気もしますが。。

まあ当時はそんなの普通でしたし、みんなも

「あー、また誰か倒れたよ。根性ねぇよな!」ぐらいの認識でした(!?)

そう考えると恐ろしいですね(苦笑


学校側としても毎回椅子などを用意するわけにもいかないという事情は分かりますが

せめて座らせてよ・・・と思っていた生徒は少なくないはずです。

改めてなぜ立たされたまま長時間話を聞かされていたのか!?

と疑問がとめどないですが。


まあとにかく、貧血はよく目にする光景ではありました。

やはりなりやすい人はいるらしく、同じ子が倒れることはしょっちゅうでしたし

何より一度倒れるとその後「そういう目」で見られるのが辛い現実でした。


そう言った事情があるので、それがいざ自分の身に降りかかると

とんでもない災難が降りかかってきた!と

まるで悲劇の主人公になった気分になるのです。


先ほども言いましたように私はクラスの先頭で立ってました。

目の前には壇上でしゃべる校長のみです。

後ろには1000人を超えるほどの生徒たちが立っているわけです。

(当然横にもルーム長であるはずの生徒はいますけども)


・・・こんなところで倒れるわけにいかない。


倒れたらいい笑いものです。

しかも目立ちすぎる先頭でのバタンは何とか回避したい。


(あれ?おかしいな・・・)

そう思ってからすぐに、いわゆる立ち眩みのような

めまいの前兆のような感じになってきました。


まれにそういうことがあってもすぐに治りましたが

この時ばかりは違いました。

少し下っ腹に力を入れても、あえて体を揺らしてみても効果がありません。

本格的にやばいかも?

そう感じてきてからは校長の話なんて一切耳には入りません。


するとだんだんと血の気が引く感じがして

(これが貧血かー。すごい!初めてなったよ)

と謎の興奮も、貧血を治すには至りませんでした。


この後どうなるのか?

未知の体験に心躍る・・・場合ではありません。

このままでは倒れてしまいます。大惨事です。


全校生徒の先頭で突然バタンと倒れる。

どよめく生徒。慌てる先生。

前に倒れたらびっくりするほど目立つし、

後ろに倒れたらボーリングのピンよろしくドミノ倒しに

ストライクを狙えるかもしれない。

いや、そんなくだらないことを考えてる場合ではありません。


そうこうしているうちに、

気絶したときに星が回るという演出の意味が本当にわかりました。


簡単に言うと頭の中でチリチリと音がするように

だんだんと視界が明るくなっていき

白い星が視界という夜空に瞬くように、

または白い花火が視界の中で何発も咲くように

徐々に全体が白くなっていく感じです。


(あー、これが貧血か…)

そう思ったときにはすでに遅く、視界は真っ暗ならぬ真っ白。

何も見えません。

耳もキーンと耳鳴りがして、しゃべっているはずの校長の声が聞こえません。

脂汗だけが出てきます。


そして何より体が尋常じゃなく揺れるんです。

目が回ったときにどうしても倒れてしまいますよね?あの感じです。

どっちが上でどっちが床なんだ?

今ちゃんと立っているのか?

どっちにしてもこんなに揺れてたら不審者以外の何者でもないでしょ!?


それでも倒れるわけにはいきません。

私 ← 貧血で倒れたやつ

よりも

私 ← 朝礼で妙に揺れてたやつ

の評価のほうがまだマシです。


必死になって耐えました。

心なしか足を広げて踏ん張り、意地でも倒れないように

全力で揺れに対抗しました。

きっとサーフィンをやらしたらひとかどの人物になっていたでしょうね。


数分でしょうか、実際は数秒だったのかもしれません。

私には永遠にも感じられる時間がようやく終わろうとしていました。


徐々に視界に暗さが戻って、つまり映像が戻ってきたのです。

同時になにかくっちゃべっている校長の声が聞こえてきました(失礼


脂汗はひどいですが、どうやら倒れることは免れた様子です。

ふー・・・やりました。

私の完全勝利です!


しかし待てよ・・・

そうすると、ただただ揺れまくっていたということにならないか!?


人間とは現金なもので、こうなると倒れなかった喜びよりも

揺れが周りにばれてなければいいなとそっちの心配をするようになりました。


自分の感覚では体全体を大きく揺らしていて、

例えるなら「おきあがりこぼし」のような感じだったのです。


全校集会でそんなやついません。


校長も真面目な話をしている最中に

先頭にいるやつが突然おきあがりこぼしよろしく激しく揺れだしたら

かつらが吹っ飛ぶほど驚くに違いありません。(名誉のために言っておくと校長は地毛)


(なんでこいつはですこに来ているかのようにノリノリなんだ!?)

そう思うに違いありません。


そう思うと気が気じゃなくて、

結局校長は何の話をしていたのかこれっぽっちも聞いてませんでした。


地獄のような時間がようやく終わり、

またゾロゾロと今度は私が一番後ろの状態でクラスまで行進です。

私の一つ後ろ、今では一つ前を歩いている子とは仲が良かったので

ここでたまらず歩きながら聞いてみました。

「あのさ・・・揺れてたよね?」


すると意外にも「何が?」との答え。

え?まさか気付いてないってことはないでしょう。

「私のことだよ。途中で異常に揺れてたでしょ!?」

「え・・・そんなことないと思うけどな」


どういうことでしょうか。

あれだけ揺れてたと思ってましたが

実はそうでもなかったみたいです。


いまだにあの時友人は私に気を遣ってウソを言ったのだと

周りもびっくりするくらい揺れてた私を気遣ってくれたのだと思ってます。


もしそうでないとするならば、

貧血を起こしたことがあるあなた、そして起こしそうなあなた、

あまり心配しなくてもいいかもしれません。

自分が思うほど揺れてないし、全力で立ち向かえば倒れずに堪えられます!


まあでも、貧血で倒れるのと

なぜか激しく揺れ動いているやつになるのと

素直に「具合が悪いです」と座ったり退席したりするのと

どれが一番マシかという話ですけど。


私はフラワーロックになりました。

フラワーロック